軋轢街道ぶらり旅覚え書
2006年 03月 31日
お前は普通の人間である。学も並、体も並、芸も並、あるのは人一倍の虚栄だけだ。と、ちょうど20歳のとき父親からいわれた。そういう父親には両親がおらず、彼は俺と同じ頃、親代わりの親戚に当たる村の豪傑から同じように言われたという。「あれは俺の言葉では無い」と昨夜酒に酔って彼は注釈を加えた。言葉というものは面白いもので、伝わらないときには仏舎利に生えた苔のようであるが、わかるときにはそれが言い終わらぬうちから心身をエレクトリックギターよろしく突き抜け魂魄を改める。人は人を以て人を成すなどという大それた文言を不良に毛の生えた品のない男が、一体どの口でのたまうのかと思ったが、合点がいった。不思議と要領を得た。彼もそれで一歩踏みとどまったのだ。血管をひきちぎって飛ぶ心を仁王のような形相で胸元に抑え自らを顧みたに違いない。ここへ来て相通じてしまった。馬鹿め、ばつが悪いではないか。まあ、いいや。また、春が立つ。心はなはだ急ぎ、飛ぶが如く飛ぶが如く
For The Price Of A Cup Of Tea
Belle & Sebastian
by mojo-the-lightnin
| 2006-03-31 04:21
| 日常ブギー